![]() 平社員、最後の事件 その2 前回までのあらすじ 海老の大量加工を依頼された、木枯らし平社員。海老フライなら四国で加工すればとふんでいたのですが・・ そこには、以前の活気ある海老加工業者の姿は、ありませんでした。 さて・・・・次の海老加工業者に向かいます。結構、親しくしてもらっていたところです。 「おおっ、ひさしぶり、元気そうだな~」と言う社長に挨拶し、早速、商談です。 パターンどうりに商談をすすめ、大手のO氏とC氏を加工現場に・・・ 指揮官A氏と木枯らしは、加工料金や、商品の流れを社長と商談します。 そんななか・・・・「木枯らしく~ん!」とハイテンションな美形のおば様が「、商談室に入ってきます。 うん?だれだっけ? 「木枯らし君から、かかってきた電話、一番、最初にとったの私よっ。と~っても久しぶりでも すぐにわかったよ!あ~んな、素っ頓狂な声出す人、他にいないもんっ。」 私は、じ~っと、彼女を見つめます。 そして、社長にむかって・・・彼女を指さし・・・ 「これ・・・ひょっとして、カズちゃん?」と聞くと、社長は、首を何度か、かすかにふって、肯定するのです。 「うそっ!老けたね~」 私の記憶は、かなり前のものなので・・・美人のOLさんみたいなイメージだったのです。 「木枯らし君は、あんまり、かわってないな~。髪、薄いけど・・・」 「老け顔は、老けないの・・・なまじ、若々しいのが老けるの」 そんな、なんやかんやで、カズちゃん、現場に戻っていきます。ど~やら、私に会いに来てくれたようです。 社長が、おいっ、と煙草を吸うしぐさをしますので・・・木枯らしも煙草を持って、外へ出ます。 晴れた、おだやかな春の海を見ながら、二人で、たばこをすうのですっ。 「何年ぶりだ・・・?」と社長。 「もう、ずいぶんなりますね・・・・なんか、四国に出張に来た際、ぶらっと寄ったのが、最後でしたね。」 「大阪で飲んだ事、覚えてるか?、あの頃は、楽しかったな・・・。そうそう、さっきのカズちゃんだが、あれ、 いまは、現場を仕切ってもらっている。」 「はぁ?カズちゃん、事務員でしょうが・・・。」 「今の事務は、嫁がやっている。」 「で・・・またなんで、カズちゃんなんかを現場の責任者に?」 「おまえ・・・工場、よく見なかったのか?」 「えっ、いつもと同じ・・・工員さんが・・・かなり、少ないと思いましたが・・・」 「まず、工員は、以前の半分以下だ・・・工場長は、定年。」 「他に若いの2~3人いたでしょうが・・フォークリフト乗って、製品運んでたじゃないですか?」 「もう・・・辞めた。というか・・・辞めてもらった。だから・・カズちゃんだけなんだよ・・正社員は・・。彼女、得意先と 商品をよく知っているしな。これが、意外にやるんだぜ。お前も知ってのとうり、うちは、加ト吉派じゃない。 他の大手の下請けだ。でもな、海外加工がブームになったろ・・・。結構、うちは、守ってもらった方なんだが・・ やがて、製品の半分を海外加工に持っていかれた。」 「うちは・・・その仕事が主で・・・他が、あまりなかったからな・・・。となるとだ、リストラせにゃいかん・・・。それでカズちゃん しか、残ってないんだ。」 「工員も半分に減らしたは、いいが・・・・見てのとうり70~80歳台の方々だ・・。いや、昔は、 もっと若かったんだが・・・・もう、20年前からやってもらっていたら・・・そうなるわな・・。」 「となると、生産効率が、悪くなる。すると、コストがかさむ、納期に間に合わない。大手から、間に合わないんだったら さらに、加工を海外にシフトすると言われる有様だ・・・。」 「若い子に入れ替えたら?」 「水産加工になんて・・・今どきの若い子 40歳台でもきやしないよ。うちのバァチャン達は、 まだ、工場で女性が働く時代からいるから、まだ、いてくれるようなものさ。 だが・・・さすがに厳しくなった・・。」 「今回、お前が、持ってきた仕事、うれしいんだが・・・正直、できる気がしない。海老フライ用の加工を してなかったわけじゃないんだが・・・全部、工場長にまかせていたんで・・・俺は、わからないだ。うちじゃ、 失われてしまった技術だ。」 そんな時、 「木枯らし君~。ちょっと来て、あんなのできないよ~~~ぉ」と カズちゃんが、やってきます。 ??? 現場に行ってみると、大手のO氏が、現場の おばあちゃん工員に加工を指導しているのですが・・・ みんな、出来ないでいるのです。 うっ・・・ばぁちゃんには、難しかったか・・・。みんな、規定の長さにまでエビを伸ばすことができないのです。 O氏の指導を必死にみていた、カズちゃんが、ひとり片隅に行きます。木枯らしもついていって、助言します。 ほら、最初の切れ目で・・・押し伸ばすようにして、ここで、長さを稼ぐんだよ、と指導します。 そこ、押しつぶすんじゃなくて、押し伸ばす。この海老は、縦方向に多少、力を入れても切れない、思い切って やってみて・・・。 で・・・・定規をあてたら、ほら、規定の長さにまでなったでしょ。 「できた~!」と かずちゃんが、素っ頓狂な声をあげます。 何度かやって、成功したので、かずちゃんにみんなを指導してもらうということで・・・この会社を後にします。 時間が、ないのです。 社長が、「おい、飯ならおごるぞ」といいますが、私は、首を振りました。 「いや、今日は、大手の人がいるから・・ちゃんとしたとこに連れていく。」 社長のいきつけのプレハブみたいなうどん屋では・・・・ちょっと・・・なのです。 「なら、ここから、20kmほどいった、峠のうどん屋にいくんだな。知ってるだろう」 「もちろん、あそこにするよ。名物 カレーうどん。俺は、釜揚げしか食べないけど」 「おでんもな・・・」 「??おでん??」 「お前、知らなかったのか!あそこにみんなが、行くのは、うどんが目当てでなく、おでんが目当てでいくんだ。」 「うそっ!」 「馬鹿、あれ、食ってみろ。安くて、うまくて、でかい。」 「はじめて・・・・知った・・・」 その後、みんなで その店で うどんとおでんを食べたのですが・・・・おでんの美味しいこと。みんな、気に入って おかわりまでしてくれたのです。 四国のうどん屋におでんも売っていることは、珍しくありませんが…私は、釜揚げうどん か 釜玉うどんしか 食べない人間なので・・・おでんを食べたことが、なかったのです。 四国のうどん屋さんにいったら・・・うどんだけでなく、おでんも一本、試しに食べる必要があるようです。 そうそう・・・今回の海老加工会社・・・この1年後、廃業いたしました。 (続く)
by simarisu10
| 2016-03-08 21:07
| 海老の倉庫
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