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THE HOLIDAY DOWN (第1話)/ブログ1周年記念企画
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私はTV局のアルバイト。特別番組の関係で数日間、三重県を離れ東京へ取材に行く事に
なった。取材の便宜上、私たちは日本プレスセンターに出入りすることになった。私はそこで
少し年上の夏樹さんという女性と知り合った。


平社員より:
How do you do & How are you! このブログも連載から1年を・・・とっくに過ぎていま
す・・・。ありがとうございます。1周年記念企画をお送りしようと思っていた矢先、赤海老エイト社
の部長失踪事件が起こりまして・・・・1周年企画が先送りになっていました。
今回、ブログ特別番組「THE HOLIDAY DOWN 」をお送りします。これは学生時代、
学生生協をスポンサーとした小冊子を作っているメンバーからライターの依頼を受け、短編を
月々投稿していたのですが・・・・。これはその中でも私の人生の方向性を変えた出来事を
モチーフにした短編です。今となっては・・・なにを言いたいのか、よく分からない短編ですが・・。
大掃除の時にふと出てきた・・・過去。そうか・・・・あの事件をきっかけに・・・私はひとつ大人に
なったのだ・・・・・とも言える出来事でした。内容上、場所、名前等は実際とは大きく異なります。
それでは・・・どうぞ!

今日も元気にOPENING CUE!


東京、銀座、オフィスビル街。大中小、さまざまなビル。この街の人々の多くは、書類を抱え
会社の制服かダークスーツをを身にまとっている。大きなガラス張りの店に左右を囲まれた、
この街の道は、妙に安心ができ、そして落ち着いた華やかさを感じる事が出来る。
街路の左右にそびえる巨大なビルとデザインを凝らした看板が見上げる空を不要のものに
しているかののよう・・・。

 「今の会社で働いてみたら社会によくある男尊女卑が、ましになるかと思ったわ。マスコミ関係
でしょう・・・。」

 よく晴れた春の日の午後。銀座4丁目。彼女は続ける。

 「でも実際は普通の会社より、ひどいね。あそこで女が認められているのは企画室の室長
とか、そういったバリバリのキャリアウーマンくらいなものね。」

ダーッ。ダーッ。私たちの横を車が通り過ぎてゆく。車の半数は、ハイヤーであった。仕事が
しばらくあいてしまった夏樹さんと私は、TVカメラ用の特殊レンズをキャノンのビルに返しに
行くがてら遊びに出た。渋い銀色に輝くカマボコ形の屋根をのせた巨大なプレスセンタービルを
あとにしてちょっとした銀ブラデートであった・・。

 「あっ、ここを右に曲がるのよ。」
彼女の道案内に従いながら歩く。大通りに出る。前の通りが騒がしくなる。サイレンの音。
火事らしい。赤い消防車、3台止まる。私は素早く時計を見た。1時半だった。テレビ局でバイト
しているうちについた習慣である。銀色の消防士、消防車から、次々とホースを引っ張り出して
百貨店にに入ってゆく。百貨店の大きなガラス張りの1階からは、次々と人が逃げ出してくる。
ハンカチで鼻を押さえている人もいるが、ほとんどの人は歩いてゆっくり逃げてくる。たいした
ことはないらしい。煙がでている様子もない。

「あれはねェ・・・。」夏樹さんが時計を見ながら、言おうとした。

バリッ、バリッ、彼女の声を妨げるように空から爆音がおりてくる。ビルのの谷間の大通りに
真黒い影を残して、ヘリコプターが横切った。「あれは、ねェ!」彼女が大声で叫ぶ。
「確か避難訓練よ、センターの広報にに出ていたわ・・。」青と白に塗り分けられたヘリが百貨店
の上空に滞っている。爆音がうるさい。あたりに人垣が出来ていた。笑いながら見る人、いかにも
心配そうに見上げる人、ちらりと見て去ってゆく人。

やがて避難訓練が終わったのか、爆音が昼間の太陽に小さくなっていった。
タッ、タッタッ。人垣が崩れてゆく。彼女が声をあげた。「石原さんよ、ほら、プレスの・・・。」
プレスセンターで紹介された石原記者がカメラをぶら下げてメモを取っていた。数分後、火事の
あったはずの昼間のビル街は、消防車と新聞記者を残して、あるべき姿に戻っていた。

「人が死ぬのっていやね・・・。」彼女がつぶやいた。
「避難訓練だったんだろ・・・。」見当違いの私の答えに彼女は黙った。ビルの谷間から、
流れ込む気だるい日射し。白昼夢のような火事が後ろを通り過ぎていった。

                          (2話に続く・・・)
by simarisu10 | 2005-05-30 23:03 | 局ネタ
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