エイト初代社長「ロン」話 第3話
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赤エビエイトは、現在、白文鳥のジュン部長(文鳥)が、仕切ってらっしゃいます。

 でも・・・もともとは、シマリスのロン社長・・・通称:取シマリス役 が仕切ってらっしゃったのです。

 ホームページ版の 赤海老エイト は、取シマリス役のロン社長 との出会いが不可欠でした。

 カテゴリー (取シマリス役の部屋)
 
 今、明かされる赤海老エイト初代社長「ロン」話 第1回

 エイト初代社長「ロン」話 第2話

 途中まで書いて放置してしまったのですが・・・最終回も近いので 完結させておくのですっ!


 
エイト初代社長「ロン」話 第3話

 会社の部長室に棲みついていたシマリスを我が家に引き取り、飼い始めた平社員・・・。

 手探りでシマリスのロンとの生活が始まった。

 ロンは・・・♀。

 彼女は、またたくまに人間の生活に見事溶け込んだ。

 部屋の樋(とい)の上で昼寝していたり、部屋の隅で置物のようにじっとしているかと思いきや、本当に
 目にも止まらぬ速さで動き回りる。

 そして彼女の持つ牙の威力は、鋭い切れ味を持った短刀のよう・・・。
 冗談なしに一秒で3箇所、手に針穴を開けることができた・・。

 一度、部屋に放たれた彼女を捕獲することは・・・不可能に近かった。
 しかし、方法がないわけでもなかった。

 餌のヒマワリの種をリス小屋に入れてやれば・・それで良かった。

 彼女の賢さを逆手にとり、ヒマワリの種の入った缶を振って音をたてるだけで小屋に戻るようになった。

 あるとき・・彼女は、脱走した・・・私の住んでいる団地のベランダからスルッと外に出てしまった。
 私は・・・焦った・・。とっさにヒマワリの種の缶を振って音をたてたところ・・・彼女は、一目散に
 私によってきて・・・戻ってしまった・・。

 あれ・・・・? 戻ってくるんだ・・・。

 私は、これに味をしめた。彼女をわざと外に放して・・ある程度、離れた場所に行くまで待ってから
 ヒマワリの缶を振ってみることにしたのだ。
 
 数度の訓練を重ねるだけで・・・リスは、見えないところまで行っても戻ってくるようになった。

 途中経過を省略するが・・・最終的にリスの放し飼いに成功したのだった。

 日曜日の朝にもなるとリスを放ち、勝手に昼前までに散歩させておくのだ。

 リスを放ち、日曜日の朝の散歩に出かけると・・散歩の途中で彼女に出会うことがあった。
 しかし、私を見ても そしらぬ振り。 彼女は、素早くどこかへ去っていくのだった。

 それからである・・日曜日の朝、洗濯物を干す主婦の悲鳴があがったり、子供の泣き声が聞こえ始めた
 のは・・・。

 とうとう、苦情がでた・・。当たり前であるが・・

 「あのね、あなた・・お隣さんが少しベランダの窓を開けて外出していたらしいの・・。
 そして、部屋に帰ってきたら・・テーブルの上で桃を食べているロンがいたんですって・・。
 お願いだから、リスを外に放すのをやめてくれない?」

 私は、愉快だった。この地球で偉そうに我が物顔で住んでいる人間・・。しかし、その集落にたった
 10cm四方の野生が侵入してきただけで大騒ぎになるのだから・・・。

 人間なんて・・・生物としては、弱々しい生き物。
 私だって、このリスを素手で捕まえることさえできないどころか、狭い部屋で1対1の喧嘩を始めた
 ところですばしっこくて鋭い牙を持つ、この生物に一度たりとも勝てたことがない・・・。

 私は、団地の前の芝生に生えている木に登っているリスを呼び戻そうと ヒマワリの缶を振ってみた・・。

 彼女は、一目散に木から下りてきて、私に襲いかかり、ヒマワリの缶を持っている手のひらに鋭い牙を立てた。
 そのときだけは、彼女は、私の手から喰らいついて離そうとしなかった。
 
 困惑した私は、リスが噛み付いたままの手をそのままにして、ジッとしていた。
 リスへの愛からだろうか・・・それともリスの小さな鋭い歯が、痛点をはずしたのだろうか・・・。
 痛くはなかった・・。

 ただ・・・傷は、深いようだった・・。リスが噛み付いたままになっている手のひらからは、赤褐色の血が
 あふれ出てきた・・。
 くぼめた手のひらには、文字どうり・・血の池が出来はじめた。
 
 どうしたらよいのか分からない私は、妻を呼んだ。

 「えっ!なに?その血!」 彼女は、驚くとともに 台所からキッチンミトンをはめて降りてきて
 リスをキッチンミトンに噛み替えさせて、そのまま家に運んでいった・・・。

 自分の手のひらにたっぷりと溜まった血を眺めて・・・
 「これは、ちいさな殺人事件・・・だな・・」と満足げにつぶやく私の姿があった・・。 

 それから・・・まもなくの事だった・・。
 広い住処に住み替えるために住み慣れた団地を離れて引越しすることにしたのは・・。

 ロン社長と出会ったのは、秋だったが・・・
 季節は、寒い冬を抜けて、うららかな春になっていた。

                
                                    (第3話 完)
 
by simarisu10 | 2009-09-28 19:08 | 取りシマリス役の部屋
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