いてっ・・

夏の暑い日、電車にのっていた木枯らしの話・・・・。

汗だくで電車に乗り込んだ、私の左肩の上の首筋になにか異様な感じ・・・。
なにかワイシャツの襟の上を甲虫が這っているような異様な感じ・・。

左肩を見てはいるが・・・なにもいない模様・・・。それでも左肩を手で払うと、その感覚は
なくなった。しばらくして、左肩を見ると・・・なにやら黒い虫が・・・。

なるほど、こいつか・・・。指で、その黒い虫をポンと弾いた・・。そうすると、その先に
歩いてくる人が・・・しまった・・・しかし・・・どうやら虫は人に当たらなかったようだ・・。

というより・・・弾いた黒い虫の影が見えなかったな・・・・。

次の瞬間、今度は右の襟首に例の甲虫の感覚が・・。えっ・・・、虫は素早いスピードでワイシャツの中にもぐりこんでしまったのである。

なぜ?左肩から向こうに弾き飛ばした虫が、なぜ、突然・・右肩に・・・。この虫は素早い速度で私をめがけてまっしぐらに向こうから飛んできたのか・・・?

さらに次の瞬間・・「イテ~っ」、さらに「イテッ!」、またまた「イテッ!」

パニックである、身体の各処から奇妙な耐え切れない痛みが襲ってきた。腹部かと思うと
胸部・・かと思うと背中・・・とおもうと腹部に痛みが次から次へと瞬間移動・・。

「くそっ・・ハチか・・・ワイシャツの中でとびまわっているんだ・・・」

昼下がりの電車のなかでネクタイをほどき、ワイシャツの襟元を開き、ワイシャツの裾をだして・・パタパタパタッ・・。「早く出て行け~」

明らかに怪しい行為を続ける木枯らしに、幸い周りの人は見て見ぬ振りをしてくれている・・。
というより・・突然、服を解き始めた、怪しい人物と目をあわしたくないようだ・・・。

だめだ・・次からつぎへと痛みがくるもの虫は出て行く様子がない・・というより・・虫の姿が
確認できない・・・。いったい・・どういうことだ・・。ハチならワイシャツのなかで飛び回っているはず・・・。どんどん、瞬間移動する痛みに、すでに私はパニックの様相である。

次の駅についた途端、飛び降りたことは言うまでも無い。

暑い昼下がりのホームで、どんどん、いきなり服を脱ぎだす木枯らし・・。駅の売店のおばさんの怪しむ目など・・・当然、関係ない・・。

どこだ・・・どこだ・・・どこだ・・・。とうとう、シャツを脱ごうとするところで・・・そいつの姿が
飛び込んできた・・・・。

コメツキ虫だったのである・・・・。

指で弾き飛ばしたと思った虫は、コメツキ虫の特性を活かし、弾かれる前に、左肩から頭を飛び越し右肩に瞬間移動・・。さらにワイシャツのなかで潜り込み・・・必死にからだをまさぐる
木枯らしの動きに反応してワイシャツの中を跳びまわり・・そのたびに刺すような痛みが起こり・・・・かつ、痛みが瞬間移動していったのである・・・。

理由の分かった木枯らしをあとにコメツキ虫は来た時と同じように、いつのまにかどこかへ
きえていった・・。

あ~あ、なんか2流の安物マンガみたいなことをしてしまった・・・。

売店のおばさんの目はすでに明らかに怪しむ光はなくしていたものの、カルピスソーダを
買うために近寄ってくる木枯らしには明らかに目をあわせようとしなかった。しかし自動販売機でゴトンとソーダを買ったとき、私がなにを買ったのかひょこっと・・首をのばして確認していた・・・。

そんな怪しい人じゃ・・ないから・・・・。あ~あっ、次の電車は・・・15分後だ・・・。

暑い日差しにまた汗がたれてゆく・・。
by simarisu10 | 2004-08-11 07:05 | 平社員休憩室
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