エコと食べ物についてのお話 第4夜
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中国の工場に製品指導に行ったときのお話です。

工場は、朝の5時から、20歳台の女性であふれかえっていました。相当な人数です。
水産工場の従業員の女性たちです。

木枯らし平社員の製品を作ってくれる方々です。仕事が豊富にある海岸部に山岳部から
出稼ぎにきている女性もかなり多いと聞きます。

さて、私の仕事は、工員たちの仕事のチェックと果てしない検品です。

一時間に一度、100人以上はいる工員の仕事振りをチェックするのです。
ここでは、工員は、番号で呼ばれます。人数が多すぎるので・・・。

私は、チェックしていきます。A班27番、同じくA班、29番の仕事が悪い。
しかし、A班といしては、作業内容は、大変良い。
D班・・・まったく駄目。

などと工員の方を番号で一人一人、駄目出しをしていきます。私が悪いと言うたびに
班のリーダーが呼びつけられ、通訳を通じて、工場長からお叱りが飛びます。

私が現場を巡回すると若い女性の工員たちに緊張が走ります・・・。

・・・・・嫌な役目だ・・・・・・。本当は、こんな事・・したくないのです・・。

巡回を終えると・・各班の製品を抜き打ちチェックします・・・。それは、朝の5時から
夕方の5時まで続きました・・・。

工員さんたちが・・・夕方の休憩に入ります。私は、ひとり片隅で検品を続けます・・。

大半の女性が休憩に場所移動していくのですが・・・何人かの女性が、残ります。
そして、意を決したように私を取り囲みます。

彼女たちは、私の検品している製品を指で指して、口々になにやら中国語で
話しかけてきます。敵意は、感じません・・。
そこに何事かと様子をうかがいにきた、班のリーダーの女性がやってきます。

話を聞くと、リーダーは、身振り手振りと簡単な中国語で私に話しかけてきます。

「この製品は、合格か?それとも駄目か?」と聞いているようです。

私は、検品表をざっとチェックします・・。水産学部時代に教わった方法では、
まだ、正式なデーターを出すには、検体が不足しているものの・・・
当初、目的とした値は、かろうじてクリアしています。

私は、彼女たちにOKと指でサインを作って「好(ハオ)」と言って、うなづきました。

その途端に彼女たちは、嬌声をあげて飛び跳ねて喜びました・・。
自分の仕事が認められたのが嬉しかったのです。

班のリーダーの女性の顔から緊張が消え・・・笑顔が現れました・・・。

いつか、私も・・笑ってしまいました。

しかし・・・・

世の中は・・・・そうは、簡単にいかないのです・・。







ところが最終チェックをしてみると・・・私が推測した値の10倍もの誤差が出てしまいました。

基準値が厳しすぎたので、ほんの僅かな数値の狂いがこんな結果を呼んだのです・・・。

くそっ・・・基準値を厳しく設定しすぎた・・・。

そう思っても・・・後の祭りです。

急遽、工場長を呼んで、善後策を練ります・・・。朝の5時から始まった作業は、すでに
夜の7時でした。

帰せる工員さんは、帰ってもらって、必要な工員さんを残し、工程を見直し、再作業です。

結局・・作業は、深夜の1時になりました。

それでも・・・結局、目標値には、達しなかったのです・・。

「朝の5時から深夜の1時まで働かせてしまった・・・。」  

私の独り言を通訳が工場長に訳してしまいました。

険しい顔つきで工場長が寄ってきました。

「ミスター木枯らし、別に珍しいことじゃない・・・。いつもの事だ・・。お前が気にすることじゃ
ない。俺も感心している・・・彼女たちを深夜まで働かしても・・彼女たちは、朝の5時には
持ち場についている・・。しかも・・お前も見たと思うが・・自分の弁当まで作ってきている。
ほとんど寝てないだろうよ・・。」

工場を洗浄しているので、私もみんなに加わって掃除をはじめます。工場長が
そんなことをしなくてもいいと伝えてきますが・・・これは、趣味だと伝えるように
通訳に言います・・。挙句の果てに・・通訳までもが、掃除をはじめました(笑)

そんなおり、男性の工員が、私に一生懸命、話しかけてきます。

通訳を呼んで、訳させると・・。

「私は、日本が好きです。日本料理が好きです。」と言っているのです。

??こちらの中国じゃ、日本料理は、むちゃくちゃ高いだろうと言うと・・

通訳が・・・「彼は、その高いお金を払ってまでも週末に食べにいくそうです。」と言います。

その様子を見て、みんなが笑っています。

通訳が「やつは、日本好きだからな・・・と笑われています。」・・と説明してくれます。

中国の日本料理は・・・日本よりも高いのです・・。彼のもらっている給料を考えると、
かなり・・悲しい事態なのです・・。

私は、なぜか大笑いしてしまいました。つられて周囲も笑い出しました。
私の胸に去来するもの・・・それは、中国製品であふれかえった日本食・・。
彼に真実を伝えることは、ひどく罪なことのように思えました。そして、アジア人として
彼に共感を覚えたのです。

日本人だって中華料理が大好きなのです。

作業が終了後、工場長と事務所に入ります。

中国のタバコを取り出し、工場長が吸い始めます。そして、箱ごと私に放り投げます。
私も一本、取り出し、吸い始めます。

通訳が工場長の言葉を訳してくれます・・・。

「ミスター木枯らし・・・工場長は、やるだけやった、もう、これ以上は、無理だといっています。
さて、あなたは、どうしますか?」

私と工場長は、お互いタバコを吸いもって、30秒間、にらみ合います。

しかし、私の心に結論は、出ていました。

「この作業工程で問題はない。これでお願いしたい。日本側の調整は、私がする。そう、伝えて
くれ」と通訳に言います。

それを聞いた工場長は、タバコを消して、いきなり、私に抱きついてきたのでした・・。


あれれ・・・・話が・・長くなりました・・・。結論までいっていないのです・・・。

もう1夜・・・続けさせてください・・。
by simarisu10 | 2008-07-01 21:15 | 平社員休憩室
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