赤海老エイト4周年特別企画  「木枯らし、海を往く」第3夜
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今回の4周年記念、特別企画「木枯らし、海を往く」・・・

 面白くないっ!とのことで・・・ピナ課長が責められているようです・・・。

 まっ・・今回は、いままでの特別企画に比べると・・地味ですしね・・。


 では、第3夜

 「チョッサー(一等航海士)が困った、ある日の午後(後編)」なのですっ。 




 前回までのあらすじ・・

 海洋調査をあらかた終えて、陸地に向かう、水産学部の実習船。

 あやうく、タンカーに追突されるところでしたが・・これを回避。
 
 あとは・・のんびり・・とおもいきや・・・・・



 「いや・・・・さっきのタンカー、すごかったですね・・。」

 などの会話も出尽くし・・再び、操舵室(ブリッジ)は、沈黙に支配されます。

 そんな時でした・・。
 
 ブリッジが、とんでもない爆音に包まれ、ブリッジのすべての窓を真っ黒にするくらい
 の機影に襲われました。

 バリバリバリ!

 飛行機です。プロペラ機です。超低空飛行で実習船をかすめた機体は、急上昇して
 空に登っていきます。

 セカンドオフィサー(二等航海士)が、すばやく双眼鏡で機体を脳裏に叩き込んだようです。

 どこにあったのか、軍用機や軍用船の載っている分厚い図鑑を取り出し
 セカンドオフィサーを中心に会議がはじまります。

 長い間、ひと悶着したあげく・・それは、アメリカ軍の偵察機では、ないかとの結論に
 なりました。

 そんな時です・・・。2度目の空襲ですっ。
 
 バリバリバリッ! とんでもない爆音を響かせながら、飛行機が超低空飛行していきました。

 「いったい・・・なんなんだ?米軍がうちにどんな用があるというんだ・・」とチョッサーが
 ぼやきます・・・。


 「な~に、やつら、本船を目標に見立てて、偵察練習でもしているんでしょうよ・・」
 とセカンドオフィサー。

 それから・・しばらく経った時・・・木枯らしもなにに使うかわからない、ブリッジの片隅に
 あった機械が突然、動き出しました。

 どうやら・・・テレックスのようなものだったようです。

 セカンドオフィサーが、その機械から出てくる紙を眺めて・・・チョッサーに渡しながら
 いいました・・・。

 「どうやら・・・うちの船・・・米軍の軍事演習海域の真っ只中に踏み込んでしまった
 みたいです・・・。」

 「そんな・・・馬鹿な!ここは、日本のすぐ近海だぞっ!こんなところで米国の軍事演習
 なんてあってたまるか!」

 「すみやかに、軍事演習海域を離脱せよ・・・との事です・・。なんでも・・関係各所には、
 事前通達が行われていたらしいですよ・・。」

 チョッサーは、すぐさまカラーレーダーを最大探索にしますが・・広い海域にうつるのは、自船
 の艦影のみです・・・。

 「くそ~っ!」と言いながら、演習海域の中から最短で脱出できる航路を探し始めます。
 それをオートパイロットに打ち込みます。

 ご苦労さまなチョッサーです。

 そうこうするうちに・・・実習船をジェットエンジンの攻撃機が襲いはじめました。
 バリバリバリッ!と轟音が10分おきくらいに実習船を襲い始めます。

 「あ~っ、こりゃ・・・近くに空母がいるぞ。演習海域に迷い込んだ、ウチラを絶好の
 攻撃目標に演習してやがる・・・・」とセカンドオフィサー。

 「えっと・・・セカンドオフィサー?連中、うちの船が、一般の船でないことがわかっている
 のでしょうか?」木枯らしが口をはさみます。

 「わかっているに決まっているだろう、最初の偵察機で船の識別番号は記録され
 とっくに照会されている。」とチョッサーが口をはさみます。

 「でも・・うちの船って、文部省の管轄ですよね・・・。文部省相手に・・こんな事をしますか?」

 「ふん、連中にとっちゃ、所詮、日本は、属国あつかいなのさ」とチョッサー。

 なんか、自分の乗った船が攻撃目標にされている腹ただしさを覚えながら
 どうでもよくなっていた、若き日の木枯らし。

 研究室の学生3人で船の甲板に仰向けになります。

 バリバリッバリッ!と船の真上を飛んでゆく攻撃機の腹を眺めて見物することにしたのです。

 「ひゅ~ばりばりっ・・・。ドッヒャ~ン・・・。今、うちの船、爆弾落とされて沈没だなっ」

 と言いながら3人で空を眺めて笑いあうのでした。

 一時間も経たないうちに攻撃機の擬似爆撃は、やみました。

 再び、ブリッジに行くと・・・どうやら、あれだけ時間が経つのに、まだ演習海域を
 抜け出せないようです・・・。

 こりゃ・・・タンカーに抜かれても文句いえない、船速だよな・・・。
 沿岸部では、さっそうと他の船を追い抜いていく実習船も外洋に出るとヨチヨチです。

 セカンドオフィサーが言います。

 「チョッサー、もうこうなりゃ、最短距離での離脱なんかしなくても、ちょっと針路を
 かえて、われわれの針路にちかい航路を選びましょう。

 どうせ、実習船だとわかっているので攻撃なんかありえない。
 演習海域にいるのに連中、カラーレーダーにもひかからない距離で、
 われわれを避けている。それにあの空爆演習の標的がわりにされたんですよ。
 
 どうせなら、ちょっくら、連中の艦影くらいは、拝みたいところです。」

 さすがに爆撃目標にされたことに苛立っていたのか・・珍しくチョッサーがかぶりを
 ふりました。

 うれしそうにセカンドオフィサーがちょっとだけ針路を変えます。

 それから、しばらくしたときです。先ほどのテレックスらしき、機械が音を立て始めました。
 
 「わっ、針路を変更したのが、ばれたみたいですよ」とセカンドオフィサー。
 「この船、ばっちり見張られてますね」

 さらに、カラーレーダーを眺めていたセカンドオフィサーが言いました。

 「来たぞ~♪ 不審な動きをした本船を威嚇しにきたのかなっ。右舷80度!戦艦らしきもの
 2隻~」

 ブリッジに居た乗員の全員が、双眼鏡を持って舷側に並びます。
 私も交代してもらって見たのです。

 でかい・・・!タンカーも凄かったのですが、こちらは、駆逐艦とおぼしき軍艦。
 ただ、大きいだけではなく威圧感があります。さすがに砲塔がならぶ巨大な物体は
 この世のものとは、思えないほど・・格好よく・・そして不気味な陰をまとっておりました。

 それに・・・それは、とんでもなく早いのです。双眼鏡で追跡するのもやっと・・。

 「40ノットだ・・・・。」チョッサーがカラーレーダーを操作して船速を計ります。

 「いや、米軍の駆逐艦なら、巡航速度でも50や60は、でるんじゃないですかぁ~」
 とセカンドオフィサー。

 「おい、木枯らし」

 「はい?」

 「お前の担当している、深海用の超音波魚探を一発、かましてやれ。この船を標的に今頃
 潜水艦がわんさか、作戦行動をしているぞ」

 「やっちゃいます~?最大探索にして強力なのを一発かましてやりますか。
 海洋調査用のですからねっ。強力ですしねっ!」
 
 軍用潜水艦に一発、浴びせかけてやろうと超音波魚探のスイッチをいれようとしたら・・
 セカンドオフィサーが、

 「木枯らし~やめろ~!冗談だっ~!」と止めに入られたことは・・ナイショ。
 まだ、血気あふれる若き日の木枯らしでした。

 その後、見張りらしき偵察機が実習船を監視していた模様なのです。

 しかし、夕闇せまるころ、ようやく演習海域を脱出した実習船。

 偵察機もいつのまにかいなくなり、いつもの平穏な日々がはじまりました。

 次の目的地は・・・伊豆半島沖なのです。

 そこで・・・私たちは、図らずも軍事演習海域事件のボスに遭遇することになったのです。

             
                                          (第3夜 fin)
 

 

 
 
  








 
by simarisu10 | 2008-06-20 20:26 | 平社員休憩室
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