赤海老エイト4周年特別企画  「木枯らし、海を往く」第2夜
赤海老エイト4周年記念企画

 「木枯らし、海を往く」 第2夜。

 今回は、「チョッサー(一等航海士)が困った、ある日の午後(前編)」 なのですっ!

 その前に・・宣伝ですっ。

 赤海老エイトとリンク関係にあるブログ 「霞の彩り」 の管理人こと 三好きぬえ様が
 詩集をだされました。

 
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 かすみのいろどり   

 木枯らしも詠んでみたのですが・・・なかなかのおすすめです。
 
 日々の人生を生きるていて・・そこにちょっと、自分以外の人からから 
 そっと声をかけられているような・・・。

 生き方って・・こんな見方をすると・・・ちょっと変わってしまうよ。

 そう、ささやきかけられるような・・・。

 紅茶とクッキーをお供にして、日曜日の午後の3時、お散歩の前に読んでみてはいかが?
 
 木枯らしは、アルコールの入った頭で寝る前に読んでいます・・。

 お求めは、  こちら 

 アマゾンで買えます。


 さて・・・お待たせしました。

 赤海老エイト4周年記念 第2夜
 

 



 海洋調査・・・それは、厳しい世界なのです。

 なにせ、まわりのどこを見ても 海、また海・・・の日々。

 24時間体制での海洋調査、寝る時間なんて・・・無いに等しいのです。
 木枯らしは、このとき、人生の宝となる、7分間、熟睡睡眠法を身につけました。

 これは、観測の1ターンが10分なので、記録に3分を使い、のこりの7分で熟睡する技です。
 いまでも・・必要があった場合、きっかり7分だけ寝れることが出来ます。

 シャワーも満足に浴びれず・・メシは、24時間体制なので4度食べますが・・・
 交代で持ち時間5分でまずい飯をかきこみます。
 
 唯一の休息は、海がとんでもなく時化て観測不可能になったとき・・・。
 
 このときばかりは、研究室の3人の学生で隠し持ってきた酒を持ち出し、時化で揺れる
 船内で酒宴をやらかすのです。

 時々、とんでもなく大きい揺れがきて、お酒を顔面に浴びてしまうこともしばしば・・・。
 一升瓶の番人役の学生は、一度、酒をつぐ度にフタをして、一升瓶を抱いて
 揺れから酒を守ります。

 一度だけ、不可抗力の大きい揺れがきて・・酒瓶と一緒にみんなでキャビンを転がりまわった
 ことがありましたっけ・・。

 それでもテレビも映らない太平洋、娯楽のない船の中では、酒宴は、最大の楽しみでした。

 とうとう、そんな日々も終わり・・・船がいよいよ、陸地に向かう日のことでした。

 例によってお気に入りの操舵室(ブリッジ)で見張りをしていた、若き日の木枯らし・・。

 昼下がりでした。

 船の後ろから・・黒い点が大きくなっていることに気づきました。船です。
 
 しかし・・木枯らしの乗り込む実習船だって外洋航海ができる代物。相手が命知らずの
 マグロ漁船ならいざしらず・・・中型貨物船クラスの速力が出ます。

 しかし、その黒い点は、かなりのスピードで大きくなってきます・・・。

 カラーレーダーを操作して、相手の速力を測ると・・・みたこともないスピードを
 出しています・・・。

 チョッサー(一等航海士)に報告します。チョッサーは、カラーレーダーを操作しながら
 レーダーに映る光点を分析します。

 「こりゃ・・タンカーだ・・」

 「えっ?タンカー・・・石油を運ぶ?」

 「そうだ・・・こりゃ、でかいぞ・・・日石丸とまでは、いかないが・・それに近いな・・」
 (※日石丸・・当時の超巨大タンカー)

 小さな点は、すでにそれがタンカーだとわかるまでに大きくなります。

 「こいつ、この船と同じ進路で航行してやがる・・・。」

 「まずいですよね・・・この速度じゃ・・」

 私の言葉が終わりまでいかないうちにチョッサーは、オートパイロットを解除して
 船の針路を変更します。

 でも、速度が違いすぎるのです。かなりまずい、雰囲気です。

 タンカーは、かなりの接近をしています。

 それどころか、タンカーから発光信号が打たれます。

 それを見ていたセカンドオフィサー(二等航海士)が・・・

 「あ~ん・・・? 当船の針路から回避されたし・・・。 だと・・。」

 「もう、やってるよ、これが、この船の限界速度だっ!畜生、ふざけやがって!」

 タンカーは、とんでもなく巨大な上にかなりの速度が出るようです。でも、図体が巨大すぎて
 針路変更が容易ではない模様です。
 
 いま、思えば、先ごろあったタンカーと漁船の衝突事故もあって不思議ではない事でした。
 でも・・外洋の海は、これまた広いので船と船が接近するなんて事自体が
 珍しいことなのです。

 なんとか回避をしたものの、タンカーとの距離は、100メートル程度。

 初めて見るタンカーでしたが・・・それは、島でした。
 島が動いている・・そんな形容がぴったりでした。

 高さも半端じゃなく高いのです。ビルの5階建て以上の高さは、ありました。

 さきほど、この船に迷惑をかけられたのも忘れて、一同、双眼鏡で観察をします。

 「ねっねっ、チョッサー、ほら、甲板の人、自転車、こいでいる。船の甲板の移動に
 自転車使ってます。この船とえらい違いですねっ。」
 
 タンカーは、みるみる実習船を追い抜いていき・・・しばらくすると、来たときと同じように
 点になって消えていきました・・・。


 おや・・・今夜は、長くなってしまいました。

 チョッサーを困らせる事件は、これだけではなく・・それは、連続でやってきたのです。

 後半は、第3夜に・・・

                              (第2夜 fin)

  
 

 
by simarisu10 | 2008-06-19 19:28 | 平社員休憩室
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