赤海老エイト4周年特別企画  「木枯らし、海を往く」 の巻
はい、赤海老エイトも先月の5月13日で4周年でした・・。

本当に・・・よく続くものです・・・。

ひそかに赤海老エイトを閉鎖して・・ブンチョブログを立ち上げるつもりでいたのですが・・・。
あえなく、失敗に終わったことは、ナイショ。

4周年記念の特別企画は、「木枯らし、海を往く」なのです。

某大学の水産学部にいた木枯らし平社員。研究室に入った時には、一年の1/3は、海の
上で暮らしていた計算になります。

専攻は、海洋環境学部・・・。それは、水産学部という・・大学生でも・・多少、気骨の入った
学生たちでも・・・避けてとおる研究室なのでした・・。実際・・同期の人間が
置手紙を残して脱走するという事件があったくらいなのです・・・。

そして・・・たしかに・・そこは・・・凄いところだったのです・・。

今回は、木枯らしが、水産学部時代に海の上で体験した、面白いことを取り上げてみるのです。


そのまえに・・・・宣伝ですっ!

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赤海老エイトとリンク関係にあり・・そして・・木枯らし平社員となにかしら
つながりのあるユニット simple-∞ 様の2nd アルバムが発売されました。

よくある、ラブソングの塊のアルバムでは、なく・・人生の旅路を歩いていくと
道端に咲いた野花になにかしら想いをはせてしまう・・・そんな、歌がつまっています。

試聴は、  コチラ

お求めは、 コチラ を参考にしてください。

 購入は、naomi 様に直接、メールされた方がいいかと思われます。

 エイト社のジュン部長のお気に入りのアルバムなのですっ。

 読者の皆様、よろしければ、是非とも、ご購入をお願いいたします。

 

 さて・・・お待たせしました。赤海老エイト4周年企画 なのですっ。





 木枯らしが・・学生時代の時の話・・・。

 木枯らしの大学の水産学部が所有する実習船は・・全国の水産学部を見渡してみても
 もっとも・・小さいのでは、ないかと思われる実習船・・・。

 しかし、実習船のチョッサー(一等航海士)の言うことには・・・

 「木枯らし、排水量こそ小さいが・・こいつにゃ・・他の実習船がもってない最新設備を
 備えているんだ、サイドスラスターに新型のカラーレーダー、深海探査用の超音波魚探。
 おまけにお前ところの研究室の深海まで調査できるのCTD・・・。
 小粒でもピリリと辛いんだ・・・。」

 はぁ・・・なるほど・・。私は、古くてもいいから・・大きな船の方がいいのですが・・。
 なにせ・・船室が・・・潜水艦並みであろう狭さなのです・・。

 そんな船で太平洋の真ん中で来る日も来る日も海洋調査をしていた時の話です。

 「こりゃ・・・まずい・・・」と先輩が舌打ちしてバタバタしています。

 私は、超音波魚探の担当で専用の一室があてがわれているので甲板で何が
 起こっているのかが分かりません。
 
 操舵室に行って・・・

 「なにが起こったのです?」とチョッサー(一等航海士)に聞きます。

 「だから・・・お前のところの教授・・予算がないと言い張って、台風が接近しているのに
 CTD調査を決行したんだ。ところが、このうねりだ・・・。CTDが深海から引き上げられなく
 なったんだ。さっき、なんとか引き揚げたのはいいのだが・・・。とんでもない時間がかかって
 もう、台風から逃れられないんだ・・・。直撃だな・・。」

 なるほど・・・うちの名物教授のやりそうなことだ・・。学生の身の安全よりも
 自分の研究のほうが大切か・・。

 夕方でした。波は、生き物のように大きくうねりだし・・・夜になることには・・・
 
 強い風が吹き、雨足が強くなってきました。嵐の夜の海は、まっくら・・。それに遮蔽物が
 ないので・・風は、とどろきをともないゴォゴォと吹きすさびます。

 私は、操舵室にこもるのが大好きなので みずからワッチ(見張り役)を買ってでて
 海を見つめています。

 ゴォゴォとなる風・・・暗雲たちこめた漆黒の空・・そして漆黒の海。操舵室の計器が
 ひそかにともす光だけがこの世界のちいさな光。

 甲板を時々、大波が洗います。もし、そこに私がいたなら・・・一巻の終わりです。

 カラーレーダを覗き込むと・・船がまったく進んでいません。

 「チョッサー・・・さっきから船が止まってますよ。早く、この海域から
 脱出しましょうよ」

 「木枯らし・・・・船は、全速力で走っている」

 「えっ?」

 「波が来る方向にへさきを向けて全速で走っている。それでも前に進めない。
 今、セカンドオフィサー(二等航海士)が波の方向に微妙に舵をとっている。
 もし、これに失敗して、横波を受けたが最後・・・この船は、お陀仏だ。」

 「でも、この船には、正と副の2つのエンジンがありますよね。両方、動かしたら・・・」

 「すでにやっているよ・・。どちらかのエンジンが故障してもお陀仏だ・・」

 なるほど・・オートパイロットをはずして、マニュアルで舵をとっているセカンドオフィサーの
 顔つきが・・・険しいはずなのです・・。

 そんなときでした・・・漆黒の海に灯りがともりました。正確には、船一面に灯りが
 ともったのです。

 青い・・とても青い・・・澄んだ光・・・それは・・本でしか読んだことがない

 「セントエルモの火」なのです。嵐の海から脱出できるよう道案内をしてくれるという
 伝説の火・・・。

 「セントエルモの火だ・・。 初めて見た・・。
 チョッサー! セントエルモの火ですよっ!嵐から抜け出る道案内のやつ・・・」

 ところがチョッサーは、苦虫をつぶしたような顔しかしません。

 「悪魔の火だ・・・」

 セントエルモの火には、2つの解釈があります。嵐を抜け出すための道案内と・・・
 もうひとつは・・・嵐の夜に現れて船を沈める悪魔の火。

 セントエルモの火の正体は、静電気。大海原に発生した静電気が金属性の船に集まり
 放電しているのです。

 船の外側の金属のとがったところ・・・船の柵の縦棒があるところの先に
 青い、とても青い小さなろうそくのような火が一面につくのです。

 キレイ・・・神秘的なキレイさです。漆黒の海をバックにともる青い火・・・。船の舳先に
 ともる火なんて・・・本当、道案内をしてくれているかのよう・・。

 先輩とひそかにアイコンタクトして、こっそり船の外にでるのです。嵐だから本当は、
 出ては、いけませんが・・セントエルモの火の誘惑に勝てませんでした。

 ところが・・不思議なことが起こりました。操舵室から見ると一面、花が咲いたようにともって
 いる火が・・・よく見えないのです。

 そう・・・近くで目をこらしても・・・まったく、見えませんが、数メートル離れると・・
 青くキレイにともるのです。

 それは、人間に正体をみられるのをまるで拒むかのようです。

 先輩とひそかに船の最上部に行き、船を見渡します・・・。


 おおおっ・・・キレイ・・船のとがったところに一面に火がともっています。

 キレイですっ!本当にこの世のものでしょうか?

 船の最上部、竹のように一本、空に突き出たアンテナ。
 そこにともったセントエルモの火なんて・・
 なんか、鳥肌がたつくらい神秘的だったのです。

 あまりいなくなると怪しまれますので・・・すぐに撤収します・・。

 そしてそこで・・帰り間際に振り向いたとき・・私は、驚嘆して先輩を引き止めました。
 さっき、私たちがいた場所は、近くにいるときは、なんでもなかったのですが
 数メートル離れると・・先ほどの場所は・・・セントエルモの火の大群だったのです。

 近くによると・・・見えなくなるか・・・。
 
 ヒトダマなんかも・・・静電気の仕業なのかしらん・・・?
 神秘性は、抜群です。これを昔の人が見て、神のなせる業としたのも仕方のないことでしょう。

 セントエルモの火が見えたのは、小1時間くらいでした。

 操舵室に戻って何食わぬ顔をしていた木枯らし・・。

 火が消えてから、だんだん、風がおさまり、波が穏やかになっているのを感じました。

 カラーレーダーをのぞきこんでいたチョッサーが叫びました。

 「0.5ノット!0.5ノット!速力が出た。 前進だっ!脱出だっ!」

 とても上機嫌でうれしそうにチョッサーの顔がほころんだ事をおぼえています。


                                     (第1夜 fin)

 
by simarisu10 | 2008-06-18 19:32 | 平社員休憩室
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