エイト初代社長「ロン」話 第2話
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うーん、昨日、酔って、えらいものを書いていた木枯らしです・・。

何故かうけた模様でアクセスカウンターが跳ね上がっております・・。
これは・・2話を書かねば・・・・いけないのでしょうね・・。


家に持ち帰ったリスは、箱の中でグッスリ寝ていた・・・。あれだけの大騒ぎでさぞかし疲れたのだろう。たまたま、ハムスターを飼っていた私は取りあえずリスの身の回り?のものを揃えるだけの準備はあった。

飼うことに一番反対するであろう妻は意外なことにリスの安らかな寝顔に見入っており
飼うことに強く反対する様子もなかった。

まっ、所詮は野良リス。人間になつくはずもなかろう・・。今は晩秋。山に帰しても冬眠の準備にはまにあわないだろう。春まではこの家で面倒を見るつもりであった・・・。

翌日、大き目のカゴを買い、我が家で暮らすことになったリス。意外におとなしく、先住民のハムスターを同じカゴにいれてみても不思議そうにハムスターを見るだけで、攻撃する様子もない。一冬暮らすことはなんの問題もないように見えた・・・。

変化が起こったのは、その翌日か翌々日であったと思う。

家に帰った私は、手招きする妻のもとに近寄った・・・。

「これ、これっ↓」 下を指差す妻の手元を見て、私はぶっとんでしまった・・。

料理を作る妻のエプロンのポケットの中でリスが丸まって寝ていたのである・・。

部屋の中に放してみたところ、あちこちを跳びまわり、エプロンのポケットに入って寝てしまったようなのだ。

人間になつかないだろうという私の期待を見事に裏切り、リスは2日ほどで人間の生活に適応し、暮らしはじめていたのである。その後のリスの我が家への環境適応能力は、神がかり的なものであった。

その翌日には、家族の肩から肩をピョンピョン飛び跳ね、愛らしい姿を振りまいた。

その数日後には人知を超えたイタズラさえ始めたのだ・・・。私には子供がいるが、テレビに夢中な子供の後ろに音もなくポトリと落ち・・・ホフク前進よろしく、そろっ、そろっ・・と忍び寄ってゆく・・・。私の気配に気づいたリスは、私と目を合わせて・・「今からやるよっ・・・」とばかり合図を送ったようにも思う。
私が邪魔をするつもりがないことを悟ったリスは、その後ホフク前進を続け、鋭い跳躍を見せ、子供の首筋に襲いかかったのである。

多分、お得意の「キッ!」と高い鳴き声とともに・・。驚いたのは子供である。わけも分からない悲鳴をあげて踊る子供の姿は私の笑いを誘った。

私は、このリスがすっかり好きになってしまった・・・。

捕食者とその餌のような関係で接近した仲であるにも関わらずリスのものおじしない態度は感心するとともに、気味の悪いものでもあった。
リスは普段は小屋の中から家族や私たちの生活をじっと観察していた。リスにはわずかな時間で人間とその生活習慣を見極めてしまったようなのだ・・。

リスが頭が良いなどという話は聞いたことがなかった。俄然、リスに興味の湧いた私はシマリスの本を買ってきて彼等の生態を知ることにした・・。

そのなかで興味深い記述をいくつか見つけることになる。リスはやはり相当、頭がいいらしいのだ・・。木の上から人間の作ったトラップを眺め、その仕組みを理解し、いくつかのトラップをくぐり抜ける方法を考え、実行に移したなどと書いてある・・・。

また、私の目をひいたのはこんな記述だった・・・。「ペット屋で売られているシマリスは、そのほとんどが朝鮮からの輸入品です。間違っても日本の野山に放さないようにしましょう。彼らは日本の野山では暮らしていくことができません・・・。」

「えっ?!」 おい、お前・・・日本生まれじゃなかったのか?

私の問いにシマリスは私の目を見つめて、コックリうなずいた・・・。

リスが家族に攻撃をはじめたのは、しばらくたったころだった。最初は、その攻撃の意図がさっぱりわからなかった・・・。しかし、その意図が分かった時・・・・私はリスが神か悪魔の生まれ変わりではないかと思うようにもなった。

リスはいわゆる貯食をする。自然界では土を掘って種を埋めるのだが、我が家の居間には土がないので、新聞の下、クッションのした、ソファの継ぎ目、その他、人間ではとても思いよらない場所にヒマワリの種を隠すのだ・・。

もちろん種は見つかり次第、没収である。しかし、リスタイムと呼ばれる、リスの散歩時間になるとリスは自分の隠した種をチェックするのだ。種を隠したポイントを   A1~A20ポイントとすると、リスはその各処をチェックし、無くなった場所を記憶する。

隠した種のなくなったポイントの近くにいる人間を覚えておき、いわゆるマークを始める。リスにとって隠した場所の近くにいる人間はまだ容疑者であり、犯人ではない。しかし、種が無くなったA2 ポイントであるクッションの下に無意識に手をいれた途端、その人間は容疑者から犯人に自動的に昇格され、爪でひかかれる、鋭い歯の洗礼を受けるなど、リスさまのお怒りに応じた実刑判決を受けることになる。

一度など、テレビを見ていて、そばにあった新聞の下に無意識に手がはいってしまった。「しまった・・・A3 ポイントだっ・・・」と思った瞬間、待ち構えていたリスにガブッとやられる寸法である。リスの記憶力は正確で、そして持続した。種のなくなったポイントの犯人が分かるまで一週間は記憶し、監視していたのだ。

夜、檻にいるリスの目の前で種を片付けた人間は翌朝、リスをカゴから出した時、ガブッとやられた。カゴから出るといつもまっしぐらに犯人の方に走っていった。目の前で捨てた場合はリスに対して現行犯&自首したことになる模様で、罪は軽く、牙の洗礼も軽い刑ですんだことを覚えている。

まもなく、隠した種の処分は私がやらされることになったと記憶している。いわゆる噛まれ役である。

あとで分かったことであるが、このような異様な才能?を見せるのは、全てのリスではない。少なくてもロン社長はそういう、異様なリスであったことは確かだった。

リスを飼いはじめると、我が家には急に来客が増えた。まずやってきたのは小鳥たちである。リスの撒き散らかした種を狙って、朝から行列を作ってチュンチュンとにぎやかになった。リスを見にネコがやってきた・・・近隣のネコが入れ替わり立ち代り、やってきた。小さな女の子もやってきた。団地の一階である我が家のベランダに団地前の野原の方向から小さな女の子がリスを見にたくさんやってきた。なかには一人でやってきて
ロン社長に自分流の名前をつけ、長い間、リスにおしゃべりをしていく女の子もいた・・・。

ロン社長は人気者だった。一人でベランダにいる間は、そう寂しくはなかったと思う。

事件が起こったのは・・・よく覚えてない・・・。ある時、家から帰ると、リスのカゴが血まみれになっていた。ロン社長は生きていた。しかし、シッポが短くなっていた。シッポからは大量の出血があった。

リスや決して弱みを見せない。自然界では弱みを見せることイコール死につながるからだ・・。おびただしい、出血をしながらも必死にいつもと同じ様子で激しく廻し車を廻すロンは、とてもいたたましく、涙を誘うに十分な光景であったと思う。
その後ロンは動物病院に連れていかれ事なきを得る。

犯人はネコであるな・・・私は確信した。家にくるネコ連中は行儀よくリスを日長、眺めているものもいるが中にはカゴを殴りつけているネコもいた。家人が家を留守にすると何匹も集団でリスのカゴを囲み袋叩きよろしく叩いている場面もあった。そういう連中にはロンは勇ましく立ち向かい、彼らの鼻先に牙をむけたり、ツメでひっかいたりしていた。

しかし、ロンの安全を確保するため、私とネコとの戦いが始まった。

ネコ忌避剤をベランダに撒き、ネコが来ると私が追っ払った・・。まもなく、ほとんどのネコがくることはなくなった・・・。1匹を除いては・・・・。

まさにボスネコであった。黒々とした大きな身体に鋭い目。人間をなんともおもわないどころか・・・逆に威嚇するという有様であった。リスのカゴを激しく叩くので、そいつが
来ると、すぐに分かった。私が出て行っても、のそのそと立ち去るふりをするだけで遠目に見て、私が部屋のなかに入ると、またリスのカゴを叩き出した。

真剣に怒った私は、すぐさま、ホームセンターにいってある秘密兵器を買ってきた。
お願い、それだけはやめて・・お願い・・哀願する妻の願いもむなしく、私は実行に移した・・・。

ある日、家に帰った来た私に妻が報告してくれた・・。「凄い声がベランダから聞こえたの・・・すぐにベランダに出たけど・・・もういなかった・・・この世の声ではなかったみたい・・。」

私の秘密兵器は粘着式ネズミ捕りであった。猫の通り道に接近させて何枚かをしかけておいた・・・。一枚がくっついて暴れると、そばにおいてある他の粘着シートもネコに貼りつくように設置したのだ・・・。目論見は成功をおさめたようだ・・・。

翌日、妻が報告してくれた・・・。「あなた・・・ネコのゾンビがでるんですって・・・。近所の奥さんが視線を感じてベランダを見ると・・毛がごっそり抜けた、血だらけのネコがこっちをみているんですって・・・・はぁ・・・・あ~あ、あ~あ、うちの主人の仕業ですなんて
言えもしないしね・・・はぁ・・・あ~。」

私も相当、後悔した。やりすぎたなと・・・。しかし、家族であるリスを加害者から守るため、私は当然のことをしたまでだと自分に言い訳していた・・・。

ロン社長、部長の部屋に逃げ込んできた野良リス。それはいつのまにか私たちの中で単なるペットから愛すべき大切な家族に昇格していたのである・・。(第2話 完)
by simarisu10 | 2004-07-14 00:12 | 取りシマリス役の部屋
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