平社員・・彷徨するの巻 その3
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 前号までのあらすじ・・・

 梅の産地の見学に福井の三方五湖まで出向いた木枯らし平社員。
 思いもかけず、恋人の聖地に迷い込みます。はげしい童謡の末、
 半島めぐりをするも・・今度は、賑やかな家族連れと一緒に船の旅・・。
 独身男の哀愁を漂わせ・・家に逃げ帰ろうとする平社員なのでした。
 しかし、本来の目的が梅の産地の見学であることを思い出し・・
 車を走らせます。

 フロントガラスから見える、路上販売の梅干の安さにびっくりした木枯らし平社員。

 さっそく一人のおばさまのパラソルに近寄り、品定めをするのです。

 うん・・・どうやら・・よくあるリジェクト品(正規品として出すにはちょっとという品物)
 の安値販売とも違うみたい・・。リジェクト品は、つぶれ梅として、別売しています。
 それも・・たいして潰れていません・・。

 値札は、1000円、500円、200円、100円。

 1000円は、減塩梅干し、500円は、通常品。200円は、潰れ梅の量の多いヤツ、
 100円は、潰れ梅の量の少ないもの そして、赤シソ単品も100円。

 100円の量が少ない梅だって・・中粒が30粒くらいは、入っているのです。
 潰れてなければ、スーパーで600円近くしたっておかしくないのです。

 「え~っと・・500円のと100円のをください」

 「にいちゃん・・100円のは、おまけな・・。200円のもおまけ・・」

 「ですから、この500円のと100円のでください。」

 「にいちゃん・・500円の3つで1000円にするよ」
 
 (独身男にそんなに大量の梅干を押し付けてど~する)と思いながら・・。

 「いえいえ、この二つでいいですよ」

 「これ3つ買ってくれたら、おまけもするよ。これもこれもつけちゃうよ」
 (というか。たった1000円でそんな大量の梅干を押し付けてど~する。儲けが
 なくなっちゃうよ・・)

 「ええ・・この2つだけでいいですよ」 (だんだん困ってくる平社員) 
 
 と言いながら・・素早く5000円を差し出します。

 ここで切り上げたい平社員なのですが・・・


 
 



 5000円を差し出した、平社員・・・。

 え~っと・・と考え込んだ、おばさまから600円のお釣りをもらいます。

 で・・手に5000円札を握ったまま・・・

 「にいちゃんな・・あのな、梅干は、みんな常温で持つと思っているけど
 ちがうんよ。この梅干、持って帰ったら、冷蔵庫に入れてね。
 よう、色が変わると言うて怒る人がいるんやけどな。梅干は、もともと
 色が変わるもんや。今は、シソの葉で赤いけどな・・」

 相変わらず・・5000円を握り締めたままです・・。えっと・・あとの4000円の
 お釣りは・・いつくるのだろうか・・。話は、まだまだ続きそう・・。

 しかし待てよ・・今、梅干が色変わりすると言ったな・・ということは、少なくとも着色料と
 アルコールは、使ってないと言う事か・・。

 素早く考えているうちにも・・まだまだ、おばちゃんの独演会は、続いています。

 「この、梅干しはな・・梅を梅酢に漬けただけのものとは・・違うんよ・・(後略)」

 それどころか、話を聞くほどに、おまけ~と言ってシソの葉を1つ入れ・・さらに
 また、一つ入れ・・・。

 お金を払った後の客にそんなにオマケしてど~する・・・。なんか泣きたくなってきました・・。
 で・・残りのお釣りの4000円は、いつくれるのだろうか・・。
 そ・・・そうだ・・このおばさんは、5000円札を1000円札と勘違いしているのだ・・。

 「おばさん・・・それ、5000円で・・あと4000円のお釣りが・・・」

 「あれ、5000円だ・・・あ~、にいちゃん、にいちゃん、すまんなんだね・・。
 まずは、両替で1000円5枚。それから・・1枚もらって・・ええっと・・お釣り・・お釣り・・」

 「あの・・お釣りは、さっき貰ったので・・4000円貰うだけでいいんですよ」

 「えっ、それじゃ・・・」と1000円札を持ちながら戸惑うおばさま。
 
 どうやら・・さっき、私にお釣りを渡したことを忘れている模様。しきりに1000円札を
 持つ手が私とおばさまの間を行ったり来たりしています。

 「いえ、それでいいんです。」

 「えええっ・・にいちゃん、悪いね、悪いね・・・ごめんよ、ごめんよ」と言いながら・・
 私の買った梅干の袋の中に・・またもや・・赤シソが放り込まれます・・。

 あ・・あの・・・独身男にシソをそんなに放り込まれても困っちゃうのです。

 本当に最初に私に渡したお釣りの事を忘れて大混乱している模様なのです。

 おばさまには、悪いと思ったのですが・・いまだに私とおばさまの間を行き来している
 千円札にそろそろ決別しなければいけません。梅干の袋をさっと取るとくるりと背を向けて
 歩き始めました・・・。

 で・・・600円で買った梅干しなのです。↓

 
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 はぁ・・・どうしよう・・・。こんなにたくさん、梅干買っちゃったよ・・。
 もし、1000円払って・・3袋+おまけでもつけられようものなら・・怖い~です。

 ♪犬の~おまわりさん、困ってしまって、わんわんわわんっ。わんわんわわんっ。
  
 ↑童謡する平社員なのです・・。

 車の助手席に置いた梅干からは・・・たまらなくいい匂いがして・・唾がとめどもなく
 あふれてきます・・。車を止めて、口の中にひとつ放り込んでみたい誘惑にかられ
 ハンドルを握る木枯らしです・・・・。あとで分かったのですが・・
 ここの梅は、ベニサシと呼ばれる高級梅だったのです・・・。

 そして・・お話は・・・まだ・・続くのです・・。

                        (続く・・)
 
by simarisu10 | 2007-09-26 17:20 | 平社員休憩室
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